Nature ハイライト

生物海洋学:植物プランクトンと海洋細菌の相互作用

Nature 522, 7554

植物プランクトンと細菌の相互作用は海洋生態系の基盤となっているが、実験研究が難しいためにほとんど解明されていない。今回、V Armbrustたちは実験室モデル系を用いて、全球的に分布している珪藻類と共存している細菌コンソーシアの特性を調べた。コンソーシア培養実験では、Sulfitobacter sp.はインドール-3-酢酸(IAA)の分泌を介して珪藻のPseudo-nitzschia multiseriesの分裂を促進すること、そしてこのIAAは珪藻が分泌したトリプトファンとSulfitobacter sp.の内在性のトリプトファンの両方から合成されることが明らかになった。著者たちは、メタボローム解析やメタトランスクリプトーム解析を行い、IAAの存在と海洋でのIAA産生に関連する遺伝子を明らかにしている。しかし、実験室で突き止められたこの経路の生態学的関連性を十分に調べるにはさらなる研究が必要だろう。この研究は、海洋での微生物コンソーシアを支えるために使われている「通貨」を分子レベルで初めて明らかにしたもので、今後の取り組みの基盤となる。

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