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植物科学:遺伝子操作で乾燥耐性を向上

Nature 520, 7548

シロイヌナズナの乾燥耐性実験。12日間乾燥状態にした後に給水し、さらに24時間経過した時点での野生型(左)と遺伝子組換え体(右)。
シロイヌナズナの乾燥耐性実験。12日間乾燥状態にした後に給水し、さらに24時間経過した時点での野生型(左)と遺伝子組換え体(右)。 | 拡大する

Credit: Sang-Youl Park

植物は水分の不足に応答して、植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)の生産量を上昇させ、水分消費量を改善し、ストレス耐性を向上させている。今回S Cutlerたちは、標的遺伝子への変異誘発により改変したABA受容体を組み込むことで植物の水の消費量を制御する方法を報告している。この改変ABA受容体は既存の殺真菌剤であるマンジプロパミドによって活性化される。さらに、市販されているこの化合物を使い、遺伝子組換えのシロイヌナズナおよびトマトの実生でABA応答および乾燥耐性を制御することで、その活性基盤についての構造的な手掛かりが得られた。この戦略は植物の他の受容体にも適用可能であり、農作物の改良に新たな道が開かれるだろう。

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