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生態学:変化に対するサンゴ礁の適応

Nature 518, 7537

白化事象から回復しつつあるセーシェル諸島のサンゴ礁。
白化事象から回復しつつあるセーシェル諸島のサンゴ礁。 | 拡大する

Credit: Nick Graham

サンゴ礁が損傷すると、その生態系が根本的に変化して新しい安定状態に達する場合がある。この過程は「レジームシフト」として知られ、全球規模で発生している。多様性が極めて高かったサンゴ礁で、サンゴの代わりに大型藻類が優占するようになり、その結果、動物の多様性やおそらくは生態系サービスまでもが失われてしまうのである。しかし、こうしたレジームシフトは必ず起こるわけではなく、撹乱されたサンゴ礁がサンゴ優占の状態を回復させる場合もある。N Grahamたちは今回、インド太平洋の撹乱されたサンゴ礁21か所の長期的データを用いて、サンゴ礁で回復またはレジームシフトのいずれかを起こしやすくする因子について調べた。この自然実験によって、構造的複雑性や水深、魚類密度など、極端な気象的事象に対するサンゴ礁の応答を予測する指標の閾値が明らかになった。この成果は、海洋の生物多様性に対する最大級の脅威についての我々の理解を深めるとともに、気候変動が熱帯のサンゴ礁に及ぼす影響を緩和するための先制措置を可能にすると考えられる。

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