Nature ハイライト

ウイルス学:インフルエンザウイルスのエアロゾルによる伝播

Nature 526, 7571

ヒトインフルエンザウイルスは、α2,6結合シアル酸(SA)を含む受容体を侵入に使うことが多いが、鳥インフルエンザウイルスはα2,3結合SAを使う傾向がある。ヒトの間での効率の良い空気伝播は、α2,6結合SAの使用と関連があるが、α2,3結合SAとの関連は見られない。K Subbaraoたちは、2009年に世界的大流行を引き起こしたH1N1型インフルエンザウイルスを遺伝学的に操作してα2,3-SAに結合するように変化させるという機能喪失型の手法を使って、ウイルスが使用する受容体の切り替えが起こる重要な部位はフェレットでは軟口蓋であること、また軟口蓋ではヒト受容体に選択的に結合する伝染性インフルエンザウイルスが迅速に選び出されることを明らかにした。この研究は、以前に報告されたデータとともに、A型インフルエンザウイルスの軟口蓋での複製適応度の解析が、そのウイルスが世界的大流行を起こすかどうかを評価する際の根拠となる可能性を示唆している。

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