Nature ハイライト

有機化学:アルカロイド合成を簡素化する

Nature 525, 7570

モルヒネ、キニーネ、コデイン、コカイン、ニコチンなどの窒素を含む天然物は、アルカロイドと呼ばれ、生物学や医学に極めて重要である。しかし、アルカロイド分子を合成し最適化する試みは、窒素の無差別な反応性によって阻まれている。この問題には、保護基を用いて窒素の反応性を抑えて対処することが多い。しかし、こうした保護基を用いる手法では、一般的に反応ステップ数が増えてしまい、合成経路に支障が生じる。今回S Herzonたちは、合成前駆体として含窒素飽和ヘテロ環の代わりに含窒素芳香族ヘテロ環を使うという新たな手法で、複雑な抗HIVアルカロイド、(+)-バツェラジンBを高効率で合成したことを報告している。この合成経路では、含窒素飽和ヘテロ環を用いた場合には実行が困難もしくは不可能と考えられていた重要な変換反応がいくつか使われている。

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