Nature ハイライト

進化生物学:細菌細胞は進化のために個体性を捨てる

Nature 515, 7525

多細胞生物は単細胞の祖先生物から生じたが、その過程には協同作用が大いに関与していたに違いない。また、協同作用を行う集団内で必ず出現する破壊的な搾取型細胞の存在に対して、著しく頑健であったはずだ。すなわち、多細胞生物の進化には選択のレベルで単細胞から集合体への変化が必要であったと考えられる。今回P Raineyたちは、搾取型細胞を包含するか排除するかのどちらかによって存続する、単純な協同作用を行う蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)の系統を増殖させた。搾取型細胞を包含する集合体は、発生スイッチのように表現型状態が交替する生活環を示したが、これには集合体の適応度の、構成細胞の適応度からの分離が必要だった。こうした生活環では、複雑な多細胞生物の出現に必要とされる特徴によく似た特徴が見られた。

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