Nature ハイライト

考古学:アメリカ最古のヒトの活動

Nature 544, 7651

丸石と共に見つかったマストドンの骨の化石。画像上部の2つの大腿骨頭は破壊のされ方は同じだが、1つは上向きで1つは下向きという不自然な配置で見つかった。左上に斜めに横たわっているのは肋骨。
丸石と共に見つかったマストドンの骨の化石。画像上部の2つの大腿骨頭は破壊のされ方は同じだが、1つは上向きで1つは下向きという不自然な配置で見つかった。左上に斜めに横たわっているのは肋骨。 | 拡大する

Credit: San Diego Natural History Museum

約13万年前、1頭のマストドンが現在の米国カリフォルニア州サンディエゴ付近で死んだ。これ自体は問題がなさそうだが、T Deméréたちは今回、その死骸に人類が手を加えたことを裏付ける証拠を示している。叩き石と台石が、打ち付けにより破壊された痕跡が認められるマストドンの骨および歯のそばで発見されたのである。これらはおそらく、骨髄を取り出すための行為の証拠だと考えられる。これらの骨には放射性炭素年代測定に使えるコラーゲンがほとんど残っていないため、遺跡の年代決定は容易でなく、光刺激ルミネッセンス年代測定法では6万~7万年以上前と示された。環境と骨の間のウランの移動によって絞り込められるウラン崩壊に基づく年代測定の結果からは、約13万年前という年代がはじき出された。さらなる裏付けが得られれば、人類が南北アメリカに存在したことが知られている時代が10倍延長され、現生人類が初めてアフリカを出たと考えられている年代に先行することになる。一方で、存在していた可能性のあるこのヒト族種が何者であったのかは、まだ分からない。

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