2017年11月号Volume 14 Number 11

反物質研究の最前線

物質の鏡像である「反物質」。物質と反物質は初期の宇宙では同じ量だけ生成したとされるが、反物質は宇宙にはほとんど存在していない。欧州原子核研究機構(CERN)では6つの実験チームは、この謎を説明できる反物質と物質の性質のわずかな違いを見つけ出そうと、それぞれの手法で挑んでいる。これまでのところそうした違いは見つかっていないが、発見されれば、宇宙をのぞく新しい窓が開かれる。

Editorial

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理研での騒動は、日本の科学研究の低迷が最重要研究機関にも広がったことを反映しており、政策的取り組みが求められる。

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News

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iPS細胞から作製したニューロンをパーキンソン病モデルのサルに移植したところ、2年間にわたって症状の改善が観察され、その間、移植ニューロンは有害な作用を引き起こさなかった。

蚊の共生細菌ボルバキアを使う手法で南太平洋諸島から蚊を一掃する試みが進んでいる。

宇宙の距離計として使われているIa型超新星について、よく知られた旧来の発生シナリオを裏付ける特徴的な観測結果が初めて得られ、発生プロセスは2つあるという見方が強まっている。

乱流の物理学は、未解決の難題として知られる。このほど、流体の中に生じる大小の渦がエネルギーを受け渡して散逸させる過程がシミュレーションによって再現された。

新発見の統計的有意性を評価するために、科学者が好んで用いるP値の閾値は0.05から0.005に引き下げるべきであると、統計学の大家たちは主張する。

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今や、科学者向けの文献管理ソフトはよりどりみどりだ。その中から代表的な8つを検討した。

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News Feature

脚光を浴びるCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の陰で、新しい物理学を模索する複数の実験チームがしのぎを削っている。

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Japanese Author

多くの研究室でES細胞を容易に樹立できるようになったのは、培養成分の改良によるところが大きい。2008年には血清の代わりにMEK1/2阻害剤とGsk3β阻害剤を添加する画期的な手法が登場し、均一で質の良いES細胞を高効率で樹立できるようになった。ところが、この手法で樹立したES細胞では、親から受け継いだはずのゲノムインプリンティングが消去されていて、厳密なレベルでの個体発生能を持たないことを、山田泰広・京都大学iPS細胞研究所(CiRA)教授らは突き止めた。そのうえで、ゲノムインプリンティングを維持したES細胞を高効率に樹立する方法も見いだした。

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News & Views

系外惑星の大気の性質が盛んに議論されている。ホットジュピターと呼ばれる系外惑星の熱スペクトルから、組成は不明だが、地球のオゾン層に似た層の存在が明らかになった。

苦味や甘味などの味覚に関する情報は、それぞれの味覚に特異的な経路を介して、マウスの舌から脳へ伝達される。このたび、セマフォリンタンパク質がこれらの経路の配線を誘導していることが明らかになった。

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News Scan

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