物性物理学：熱の量子

トポロジカル保護によって決まる一次元チャネルは、量子ホール系の特徴である。このチャネルでは、電気コンダクタンスが非常に高い精度に量子化されるので、計量標準として用いられる。そうしたチャネルの熱コンダクタンスも量子化されるが、電気コンダクタンスより測定が困難であった。今回M Banerjeeたちは、電子同士が強く相互作用して分数化した準粒子になる分数量子ホール領域において、熱コンダクタンスの詳細な測定を行い、準粒子はこの領域においてさえ、非相互作用領域の場合と同様に熱コンダクタンスの量子化に従って熱を運ぶことを見いだしている。今回の知見から、トポロジカル効果や強い相互作用効果を観測するプローブとして熱コンダクタンスを使用する方法が示唆される。

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