Nature ハイライト

生物地球化学:バイオマスの過去の増加

Nature 544, 7648

大気中の二酸化炭素濃度が高まった結果として陸域の総一次生産量(GPP)が増加するかどうかはまだよく分かっていない。このため、陸域の炭素貯蔵および炭素循環と気候の間のフィードバックのモデルによる見積もりの不確かさは大きい。今回、大気中の硫化カルボニルの長期にわたる記録に基づいて、20世紀におけるGPPの増加の見積もりが示されている。硫化カルボニルは、その供給源の変化や植物の葉による吸収などのシンクの変化に応答する。モデルシミュレーションを用いた結果、この硫化カルボニルの記録は、20世紀にGPPが約30%増加したと仮定する気候–炭素循環モデルシミュレーションの結果と最もよく一致することが見いだされた。硫化カルボニルの記録の解析から、過去の炭素循環をモデル化する際の全球スケールの基準が得られる可能性があると、著者たちは述べている。

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