Nature ハイライト

植物科学:光化学系IIでのO=O結合形成

Nature 543, 7643

光化学系複合体の構造は、X線自由電子レーザー(XFEL)のような技術の進歩によってさらに詳しく調べられるようになり、プロトン移動や結合形成の機構についても手掛かりが得られるようになった。沈建仁(岡山大学ほか)たちは今回、時間分解連続フェムト秒結晶学という新たな手法を用いて、XFELで2回のフラッシュを照射した後に形成される中間体状態を調べた。こうした照射を行うと、まず1個の水分子が消滅し、それによってもう1つの水分子が酸素原子の方へと移動することが明らかになり、これはプロトン移動を反映している可能性がある。また、O=O結合が形成されると考えられる位置に新たな酸素原子が挿入されることを示唆する証拠も得られた。こうした結合が形成されるだろうことは以前から考えられていたが、実際にはまだ検出されていなかった。これらの知見は、光化学系IIにおける水の酸化機構についての理解をさらに深めるものだ。

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