Nature ハイライト

進化学:まれな移動個体が分岐選択を制限する

Nature 546, 7657

自然選択は、異なる環境にある集団間で分岐を促す。これを分岐選択(DS)というが、自然選択にはもう1つ、負の頻度依存選択(NFDS)も存在する。これは、集団内においてまれな表現型が、ある特定の状況では選択優位性を持つというもので、例えばカエルの大集団では、カエルの姿に変えられた「王子」が大きな注目を集めることになる。DSとNFDSは、空間的および時間的に異なるスケールで生じるため、同時に研究されることはほとんどない。DSが複数の世代にわたる大きな選択の流れであるのに対し、NFDSは、例えば配偶者選択のような細かな局面に関係する。しかし、NFDSは分岐選択よりも強力なことがあり、場合によっては分岐選択と対立して作用することもある。今回D BolnickとW Stutzは、淡水型イトヨの集団でNFDSの影響を明らかにしている。湖沼で育ったイトヨを河川へ導入し、またその逆も行うという相互移植実験の結果、移入個体は数が少ない場合には生存率が予想をはるかに上回り、分岐選択を制限することが実証された。

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