約350万年前にもエルニーニョ サンゴ化石で確認
北大など、最古の証拠
南米ペルー沖の海水温が高くなり、異常気象の原因とされる「エルニーニョ現象」が約350万年前にも起きていたことが、北海道大などの研究グループによるサンゴの化石の分析でわかった。エルニーニョ現象の証拠としては世界最古。当時の気温は現在より2~3度程度高く、今後地球温暖化が進んでも同現象が周期的に起きる可能性が高くなったという。
北大の渡辺剛講師、国立科学博物館の加瀬友喜研究主幹、産業技術総合研究所の鈴木淳グループ長らの成果。10日の英科学誌ネイチャーに掲載される。
研究グループは、フィリピンの鮮新世温暖期(約460万年前~約300万年前)の地層で発見したハマサンゴの一種の化石を分析。同じ地層にあった植物プランクトンの化石から、年代を350万年前と特定した。
サンゴには成長を表す線が年輪のように1年に1本ずつ刻まれており、主成分の炭酸カルシウムを手掛かりに計70年間の海水温の変化を調べたところ、数年おきの周期で水温が大きく下がり雨が少ない時期があった。
水温変化は、エルニーニョ現象が起きた際のフィリピン付近の現在の気象と似ているといい、渡辺講師は「エルニーニョ現象が継続的に起きていた証拠だ」としている。
エルニーニョ現象が起きると日本では暖冬や冷夏になるほか、世界的に異常気象になることが多い。地球温暖化が進んでも同現象が起きるかどうかが注目されている。